ゴヤ 「闘牛技」

2006/12/12 23:42:32

テーマ:ブログ

Dsc04662ゴヤのエッチング「闘牛技」 最終第8版 No"D"
題「闘牛士は助手に肩車され、長槍で牡牛を突く
Torero montado sobre las espaldas de un chulo lanceando un toro」
私にとって初めて売れた「絵」がゴヤのものということで興味がどんどん募ってしまって、色々と調べてみました(^_^;。 「フランシスコ・デ・ゴヤ」は言うまでもなくスペインが産んだ世界的な画家。1746年生まれ。ゴヤ以降に彼以上の人はいなかったともいわれるほど。宮廷画家の頂点も極めている。スペイン絵画はパリ画壇とともにヨーロッパ絵画の源流で、そこから出た人は数多い。パリとの違いは、スペインの画家はスペイン出身者が多く、パリの画家はパリ以外の人が多いということ。スペイン自体、世界帝国を築いた16世紀を頂点に国力は衰えていったが、文化は爛熟していた時代。事実、ゴヤが活躍していた1808年にはフランスのナポレオンによってスペインは征服されてしまった。
この版画はゴヤ本人の手によって銅版に彫られた40枚一組のもの。制作年代は1815-16年。初版から最終8版まで刷られており、それぞれ刷られた枚数は違うらしい。本来は美術館が収蔵展示するもので、日本で代表するところとしては国立西洋美術館が収蔵している。スペインのエッチングの技術はすごいらしく、いまのユーロはスペインで作られているらしい。
これは最終第8版200部のうちの97刷目である。1部は表刷り33枚と裏刷り7枚の計40枚セットで、裏刷りはカウントがAから始まるアルファベットになっている。これはその4枚目ということで"D"なのである。裏とは表に彫った銅版の裏を使ったということ。裏には時間がある時や気の向いたときに彫り続けたらしい。だから本来は枚数には入っていなかったもの。
スペインでは現在は国技となっている闘牛だが当時は娯楽の一つであり、現在の闘牛士はスペインではヒーローだが、当時の闘牛士は連れてこられたモロッコ人であったという。この絵の構図は闘牛士が肩車をされている。現在では危険なので許されていない行為のようだ。
銅版ということでエッチング表面が磨耗しており、今後追加で刷ることはできないそうだ。だから、今回販売した版が最終ということになる。現在スペイン国でも残りが僅か20部足らずだそうで、その一部が一般のこうした展示会に出品されるなどということは異例なこと。画商である甲斐氏はスペインに30年通い続け、現在では日本でスペイン大使館後援の展示会を開催できるのは彼のほかにはもう一人しかいないのである。彼だからこそ特別に許可の下りた品だったのだそうだ。これほど希少なものを私が初めて売ってしまったということは、なんとも、恐縮する次第で、これもご縁と思っています\(^o^)/。
甲斐氏に聞くと彼の残りも10枚ほど。今回5枚を一度に売ってしまったので、残りはコレクションにするかどうするかは考えますとのことでした。今回、手に入れた方はとてもラッキーだったのです(^_-)-☆
追記・・・これがご縁で来年の春ごろ訪欧の計画が持ち上がりました。実現できれば楽しみです。