金沢城にきました。ここは石川門。国指定重要文化財。金沢城の数少ない当時の遺構です。
加賀や金沢という町は元々一向宗門徒が戦国の頃100年にわたって統治していた国。宗教都市だったわけですね。日本という国の歴史で非常に数少ない統治形態であるその元は、鎌倉の頃、親鸞さんが直江津に流されて、そこで根付いた教えでしょう。彼はそこで、仏教者としては初めて妻を娶っている。その後関東に下るわけですが、当時の教えの強さが脈々と残った証がそこにあったということだと思います。後の時代、侵略者である信長達から見たらそれはそれは恐ろしい存在だったのでしょう。他では物言わぬ農民や民衆が、ここでは鍬や鎌を持って歯向かって来る。殺しても殺しても次から次と人が押し寄せてくる。彼ら武士が経験したことのない相手だったのでしょう。その根本は親鸞さんの教え。他力本願。死んだら阿弥陀様が救ってくださる。この思い一つ。
良い、悪いではなく、その時代の勝者が敗者に対してあたえる印象は得てして悪辣になりやすい。でも、その勝者でさえいつかは敗者となってしまうこともある。信長は光秀に殺され、光秀は秀吉に殺された。秀吉にしても最後は自分の家や子供を守りたい一心で家康に懇願している。結果、そうならなかった。それを勝者とは言えないでしょう。栄枯盛衰。諸行無常。親鸞さんと同時代の平家物語は人間の生き様を800年の昔から見抜いていたような感じがします。ということは勝者も敗者もないのではないか。今の自分はたまたま勝者だけど、いつ敗者になるかわからない。したがってそんなことを思わないほうが良い。今をそのまま受け止めること。
人はこの世に生を受けて何をすべきか。活躍しなくてはならない。自分の使命を探し続けなくてはならない。生きる限り挑戦し続けなくてはならないのです。癒されることは死んでからでも間に合います。死んだらすべての人が光の中に戻るのです。人の実態は光だから。
だから、生を受けて物体として生きている今は自分の生きる道を見つけていかねばならないのです。その前提となる色即是空を理解した上で。